大判例

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名古屋高等裁判所 昭和29(う)7 高裁判例

主 文

本件控訴を棄却する。

理 由

本件控訴の趣意は弁護人富田博の控訴趣意書に記載されている通りであるから之

を引用するが之に対する当裁判所の判断は次の通りである。

控訴趣意第一点事実誤認の論旨について

<要旨>然れども賍物牙保罪の成立するがためには犯人が賍物たるの情を知りなが

ら他人のためにこれが売却の仲介</要旨>斡旋の労を尽したといふ事実があれば即ち

足るものであつて右仲介斡旋をするため犯人が自ら該賍物の交付を受けたか否かは

毫も同罪の成否に消長を来すものではないと解するを相当とする。本件において原

判決の挙示引用する各証拠の内容を仔細に調査検討すれば被告人はAより同人の知

人が他より窃取してきたものであるという事情を打明けられた上銅線八貫匁位の売

却の仲介斡旋方の依頼を受けてこれを承諾し同人と共に右賍物の一部である長さ三

尺重さ四、五貫匁位を見本として携行の上原判示の如くB方に赴き同人に対し該見

本を呈示してこれが買入方を申込み以てAのために仲介斡旋の労を採つたといふ事

実を肯認するに十分であつて所論の如くその際被告人が賍物の全部を自ら交付を受

けたと認むべき積極的な資料は存在しないけれども被告人の前記所為は特に賍物牙

保罪の実行正犯に該当し同罪の成立を否定し得べきものでないと同時にその所為は

所論の如くAの賍物牙保を幇助したものであると目すべきものでないこと極めて明

白である。

畢竟原判決のこの点に関する事実認定には所論の如き誤認は更になく論旨は到底

採用し得ない。

同趣意第二点量刑不当の論旨について

本件記録に顕はれたすべての証拠を仔細に検討するに本件各犯行の動機、態様、

犯罪の回数、被告人の前科、経歴、家庭の状況、資産状態その他諸般の情状に鑑み

れば所論の情状を斟酌しても被告人に対する原審の量刑が不当であると思料すべき

事由を認め得ないから此の点に関する論旨も理由がない。

原判決には他に破棄すべき事由がなく本件控訴はその理由がないから刑事訴訟法

第三百九十六条を適用して之を棄却することとする。

よつて主文の通り判決する。

(裁判長裁判官 鷲見勇平 裁判官 小林登一 裁判官 栗田源蔵)

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